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海とヒトの関係学④  疫病と海

著者 秋道智彌・角南篤
定価 1,600円(税抜)
発行年月日 2020年2月
判型 A5判並製 264ページ
ISBN 978-4-908443-59-6
Cコード 0056
刷り 1刷

内容紹介

海はヒト・モノ・情報を運ぶ道として人類の歴史を通じて大きな役割を果たしてきた。
船が海を介して恩恵を運んだ歴史はいうまでもないが、その裏で災禍をも拡散する媒体でもあったことを正面から議論することはほとんどなかった。その典型が疫病(epidemics)にほかならない。

本書は海を越えて運搬される疫病や多種多様なエイジェント(外来種や病原菌)をめぐる人類の歴史とドラマを、歴史、国際法、疫学、人類生態学、国際政治学、海洋生態学を含む分野横断型の切り口から検証した、未来に向けたメッセージである。

 

目次

<はじめに>
疫病の海洋人類史 秋道智彌

<第1章 疫病の人類史>
1.感染症の人類史 門司和彦
2.ラパヌイ(イースター島)の歴史を引き裂いたウイルス感染症 片山一道
コラム)エルナン・コルテス上陸後の大惨事 江藤由香里
3.カナダ先住民の疫病との闘い 北西海岸地域のハイダと極北地域のイヌイット 岸上伸啓
コラム)日本への梅毒伝播と大航海時代 黒島敏

<第2章 疫病と海運>
4.クルーズ船と感染症 田中三郎
コラム)ダイヤモンドプリンセス号が問うもの 坂元茂樹
コラム)瀬戸内海巡回診療船「済生丸」 岩本一壽

<第3章 水産物・海洋生態系をとりまく疫病と汚染>
5.いま持続可能な水産業の実現に向けて 小林正典
6.養殖の死角 水環境に蓄積される薬剤耐性遺伝子 鈴木聡
コラム)環境ホルモンによる海洋汚染とクジラ・アザラシ・ホッキョクグマへの影響 岩田久人

<第4章 疫病を封じ込める>
7.十九世紀前期の日本北方における感染症対策 天然痘とアイヌの関わりから 永野正宏
8.江戸時代における疫病の水際対策 橋村修
コラム)海の近代中国と感染症 村上衛
9.水際作戦の歴史 明治日本の海港検疫 市川智生
コラム)コロナ時代に再考されるべき病院船 砂田向壱

<第5章 疫病からの再生>
10.孤島の風土病 飯島渉
11.パンデミックがもたらす新たな国際安全保障 秋元一峰
12.ヒトをつなぐための海 秋道智彌

<おわりに>
「ブルー・リカバリー」に向けて 角南篤

用語集